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安藤 正樹*; 平野 雅司
日本原子力学会誌, 44(2), p.162 - 172, 2002/00
チェルノブイリ事故発生当初、事故原因は運転員の六つの規則違反とされた。しかし、その多くは、実際には規則違反ではなかったか、あるいは規則違反であったとしてもその後の事故の進展には大きな影響はなかったことが次第に明確になってきた。むしろ、設計上による原子炉特性の問題,手順書等運転管理上の問題,さらには、安全規則体制上の問題や運転経験の反映にかかわる問題等、事故の背景にある問題のほうが重要であった。こうした問題は、全てのプラントに共通に存在し得る問題であり、同事故からできるだけ多くの教訓を学ばねばならない。また、事故により燃料の多くが溶融し、周りの構造材等と反応して溶岩状燃料含有物質を形成した。それは現在も原子炉の下部に存在しているが、まだ十分に調査されておらず、解明すべき点が多く残されている。今後の調査に期待する。